家被・昭和四十三年卒  渡 辺 澄 子

 「佐保会三重」二十九号をここにお届けすることができました。

今期の編集は鈴鹿亀山地区委員の方のご尽力によるものです。毎年、本誌の充実を実感していますが、今年もさらに充実した内容の冊子が出来上がりました。これも偏に会員の皆様のご理解とご協力の賜物と感謝申し上げます。どうぞゆっくり味わってお読みいただけると嬉しく思います。そして、会員相互の交流や広く社会貢献へと繋がってゆきますようにと願っています。 

 さて、今年度も佐保会第五回代議員定時総会および奈良女子大学同窓会佐保会第五回総会が九月二十五日(日)奈良ホテルで開催されまして出席いたしました。代議員会での議案等詳細は同封の佐保会報をご覧いただきたいと思います。今回特筆すべきことは、佐保会本部の役員改選でして、理事長はじめ、監事、理事の大幅な刷新が行われ、役員の世代交代を感じさせるものでした。さらに、各支部からの報告でも、やはり役員の世代交代が進んでいます。そして、会員相互の交流を如何に活発に行うかについていろいろな工夫が報告されました。支部によっては広い県域をいくつかに分け、地域別に集まりやすくして気軽な寄合などを行っているところもあります。ホームページを活用した情報発信や、それをもとに他県の情報も得られ、同窓の絆を結ぶことのできるお話等もありました。

実は本誌についても、皆様のお手元に届けた後で、著者の了解を得たものについては、佐保会三重県支部のホームページへコンテンツとして掲載しています。したがってスマホからもほとんどの記事をゆっくりお読みいただけることと思いますし、支部会員以外の多くの方々の目にも留まっていることと思われます。大変喜ばしいことと思います。

次いで、今年一年の支部活動について報告させていただきます。

今年度は支部総会を津新町駅近くのプラザ洞津で行いました。午前中、大学からの依頼で先ず大学副学長兼理事の角田秀一郎先生より大学の危機についてお話を伺い、続いて支部総会を行い、次いで懐石料理をいただきながらの懇親会の席で、全員から近況報告をいただきました。そして午後には公開講演会を行いました。詳細は後述の支部総会報告にまとめていただきましたのでご覧いただきたいと思います。


実は、公開講演会の一般参加者が年々増えてまいりました。もちろん講演内容にもよりますが、毎年常連のように参加してくださる一般の方々も何人かいらっしゃいます。皆様から今後のご要望やご提案をいただけると大変ありがたく存じます。次回は伊賀上野で開催予定です。楽しみにしています。

 今年の卒後六十年のお祝いは小坂絢子様、野村淳乃様、長田和子様で、ご出席いただいた小坂様、野村様の明るいお元気なご挨拶に一同敬服した次第です。ここでは、先輩方の生き方を身近に感じることのできるまたとない機会です。今まさに、女性の生き方がどの年代でも問い直されている難しい時代ですが、今をどう生きるか、これからをどう生きるか、という問いかけに対して、私たちは多くの立派な先輩たちのお話から、刺激やヒントを得ることができます。高齢者という年齢区分も今までの六十五歳以上から七十五歳以上に引き上げられるそうで、定年後の長い人生をもう一度立て直さなければいけないと感じているところです。

 そして公開講演会をお願いした上瀬英彦先生は、たまたま昨年津地区委員の斎藤ちあきさんから頂いた先生の著書を読み、目から鱗がおちるという感じで食生活のあり方を考えさせられたところから、是非にとお願いしたものです。大台町で地域医療に取り組まれ、奥様のますみさんは斎藤さんの妹さんでやはり佐保会員です。私たちはこのようなネットワークを生かしながら、すぐにでも社会貢献ができることを実感しているところです。そして講演会の一般参加者への呼びかけも会員のちょっとした誘いの声掛けでずいぶん広がっていくことを目の当たりにしています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 さて、この紙面をお借りして、今年のテーマ「扉を開けて」に関する私事を書かせていただきます。我が家の正面向こうに見える小高い丘の上に、巨大なクレーンが十月から毎日稼働しています。再来春開校予定の県立特別支援学校の建設の工事です。今年の十月には、その隣に松阪市立こども支援センター「そだちの丘」がオープンしました。その辺りは以前私の勤務先のあった場所ですが、今は見晴らしのいいとっておきの散歩コースになっていました。退職して十年余、それまでの多忙だった生活に区切りをつけて、自由に趣味を見つけることと、のんびりすることを自分へのゴホウビなどと思って過ごしてきました。人間にとって十年という期間は価値観を変えるのにふさわしい長さではないかと思います。この有難かった生活には十分満足させていただきました。しかし、これからの十年に向けてはこのままの生活は私を満足させるものではなさそうです。次の扉を開けたいと思うこの頃です。時代の変化で最も気になることは、やはり「教育」です。子どもたちが人間らしく健やかに育つ環境がますます悪化していくように感じています。孫たちは遠くで暮らしていますので、私の周りでは近所にも子どもの遊ぶ姿は見当たりません。私は放課後デイサービス施設にお願いしてボランティアを始めました。そこでは私は放課後の子どもたちが学校からただいまーと帰ってくるのを家で待っている「おばあちゃん」としての役目です。放課後の二、三時間ですが、支援の必要な子どもたちと遊びながら様子をじっくり見て、自由にゆっくり個性を伸ばせるように温かく見守ることを今は大事にしています。もう一度教育の原点を学びなおそうと、重い扉を開けようと思っています。

 本誌「佐保会三重」第二十九号の発行は、鈴鹿・亀山地区の編集委員の皆様にお世話になりました。そして今回も沢山のご投稿をいただきましたことを厚く御礼申し上げます。次号も引き続き鈴鹿・亀山地区の担当になります。次号にも沢山のご投稿をよろしくお願いいたします。                       (平成二十八年 師走)