「食と健康の哲学」を読んで

                                                                             S二五 文国 神戸 道 

 

  「理想的な食は、健全な肉体と精神を維持し、毎日が楽しく過ごせ、健康寿命を延ばす食だ。」「その為には、無農薬の自然な食べ物を、素材のまま食べること。」

最近読んだ上瀬英彦氏著、「何を食べる?何を食べない?食と健康の哲学」の一部だ。

 

 平成四年、百歳で逝った母の口癖「(めい)は食にあり」を思い出させてくれた。私は夫を見送って五年余り、お一人様生活にも慣れ、俳句や詩吟、プール歩きを楽しんでいる。

 交通事故の後遺症で足が不自由なのと、加齢のため要介護2を貰い、週三回ヘルパーに掃除に来てもらっている。料理はボケ防止にもなるし健康のため、自分で作る。電動カートで週四回プールへ通い、週一回、プールの近くのスーパーで買い物をする。三年前、岡井睦氏著、「炭水化物は人類を滅ぼす」を読んで共鳴し、減炭水化物生活を続け、三か月で五キロ減量して、そのままの状態が続いている。お米は一年間で十キロ。野菜・果物はその数倍。「食と健康の哲学」は、更にその先を示してくれた気がする。この本を読んで、一番感銘を受けたのは、アメリカの有名監督が、自身を実験台に撮ったという映画の話。女子高生が、「ファストフードで被害を受けた」と提訴したが、裁判で敗れた。よしそれならと、監督が映画化しようとしたが、実験台に立つ俳優がいないので、監督自ら被写体となり、一か月間、ファストフードばかり食べた所、臓器の殆どがボロボロになったという。その映画はアメリカで上映され、衝撃を与えたというが、日本では一度上映されてそれきりだという。ファストフード協会が総力をあげて反対したのだろう。ぜひ見たいと思っている。この書は医学論文の性格もあるが、難しい本の名前や、論文の引用など、「註」が多くて、読み終わるのに二週間を要し、全てを理解できてはいない。しかし、上瀬先生の言わんとする所は理解できた気がする。先生は、きっと、「ファストフードは国を滅ぼす」とお考えなのではないか。ご指摘の通り、子供の食品アレルギーなどは昔は無かったと思う。恐ろしいことに成人病の低年齢化が進んでいるという。「生食の野生動物には病気はないがペット動物は、人間と同じ成人病を患う」これも納得。

 

 ファストフードの添加物は有害だとわかっていても、働く女性の力強い味方という側面もある。私にも昔、即席ラーメンで急場をしのいだ苦い経験がある。しかし子供が喜ぶのだ。私は、目下「松阪九条の会」会員として、九条廃止反対・憲法改悪反対の運動に取組んでいるが、「食の安全」こそ目下の急務ではないかと思い始めている。