支部長再就任のご挨拶

 

             家政学部被服学科 渡辺澄子

 

 前支部長を平成30年の支部総会で森下支部長と交代しましてホッと肩をなでおろしていましたが、その2年後の令和2年4月に、森下支部長は文科省から英国ロンドンの日本人学校へ教頭先生としての就任辞令を受けられまして、コロナ禍の真っ只中でしたが同年9月に渡英されました。そして、その後も吉田事務局長とLineやメールでのやり取りで支部運営をしていただきました。しかしどうしても事務局長に負担が多くかかるようになり、帰国までの間、渡辺が再度支部長を引き受けるようにとの依頼がありまして、僭越ですがお受けすることにいたしました。森下さんには職務を完遂していただきたいと願います。そして世代交代と思っていたのですが、再度お引き受けするにあたり以下の様な改革を考えております。どうぞよろしくおい願いいたします。

 今年一年、様々な出来事が起こり、時代の変化の激しさを誰もが感じていると思います。世界中の出来事が地球規模で駆けめぐる様な時代になりました。このような中で「何?同窓会~?」などという言葉が聞こえるような気もします。しかし、実はこのような時代にこそ同窓会の役割やイメージを思い切って変革し、役立てなければならない時代のように思います。退職後の老後の仲良し会的なイメージではなく、この社会を牽引しておられる現役世代の会員の方々の課題、新卒の若い後輩会員たちの新社会人としての課題、そしてもちろん高齢社会をどう生きるかという新しい課題にも、同窓の皆様と情報交換し合える多世代型コミュニケーションが取れるようなネットワーク体としての同窓会のあり方を求めていけるのではないかと思っています。

 コロナ禍でリモートワーク、在宅ワークが進み、利点も多いのですが、一方で若い世代では社会人になりながらも生身の人間不在の世の中で生きていく、人間関係が益々希薄になっていく、これで良いのでしょうか。同窓というだけのよしみですが、若い人同士もそして世代を超えたOG同士も、共に信頼できる人間関係を築き、繋げていける貴重なツールとして同窓会を活用していけたら素晴らしいと思っています。新しい人間関係を作るにはちょっとした勇気がいります。SNS上でも「繋がる」というツールが盛んに使われているようですが、信頼できる確かな繋がり、閉鎖的でなく、あくまでもオープンな、前向きな、広がりのある繋がり、そして社会へ還元できるものでありたいと思います。奈良女子大学で学ばせてもらった私たちの使命でもあると思っているのです。

 幸いにも三重県支部では、「佐保会三重」を平成元年から毎年発行し35号まで発行しました。このような会員交流誌は大変まれで、過去の号誌を読み返す度に、多彩な内容と深い味わいに引き込まれてしまいます。投稿してくださる会員の皆様、そして編集してくださる役員の皆様の並々ならぬお力添えをこころより感謝しております。そして年一回の支部総会(公開講演会と懇親会)での会員同士の交流が本同窓会の現在の実活動です。この活動はデジタルでは決して得られないアナログな生身の人間同士の繋がりです。懇親会では、はじめての方との出会いもすぐに打ち解けて、懐かしい奈良の思い出で盛り上がり、そして今の世の中の問題も共通のこととして共に話題に興じることができます。そこでは自分で気付けなかった新しい知見を得ることができ、そして気力を充電することができると感じられます。また年齢の開きがあっても逆にお互いを分かり合おうとする知的好奇心を呼び覚ますもののように感じられます。奈良女の暖かい絆の強さを感じるひと時です。

 今年の支部総会では本支部継続の危機的状況の説明と合わせて、支部運営の在り方を再検討するための規約改定の提案が出されました。平成元年に作成された現行規約を令和の時代に合わせて大幅に改定するもので、総会で皆様のご意見を伺ったのですが、ここは慎重に一年をかけてより良いものに取りまとめて来年の支部総会で再度お諮りするという形となりました。会員の皆様には本同窓会に対する忌憚のないご意見と、共に全会員に有益な同窓会をつくるためのアイデアをお寄せいただき、今後ともお力をお貸しくださいますようよろしくお願いいたします。                         (令和4年師走)